投資家向け調査資料 | 2026年9月2日(第2版: 9月7日)
世界ウェーブプール実勢調査
海外主要3施設(英・豪)の「枠ごとの正規料金」を各公式サイト・公式予約システムから実査し、月次利用実績データと突き合わせた報告書。第2版で「世界11施設の日次トラッキング(第5章)」と「商圏人口の国際比較(第6章)」を追加。
0.エグゼクティブサマリー
- 1時間のサーフセッションの世界実勢は約9,500〜18,800円。中核となる中〜上級枠は 11,900〜14,200円 に収れんしており、3施設・2カ国で驚くほど近い水準にある。
- エキスパート枠は明確なプレミアム価格。URBNSURFではExpert枠のみ別建てで17,000〜18,800円。上級者は高単価を受け入れている。
- 回数券・会員で単価下限は約8,900〜11,700円。ヘビーユーザー向け割引後でもこの水準を維持しており、トラッキングデータの想定単価8,000円は保守的(控えめ)な仮定と評価できる。
- 実績では最新施設のシドニーが最強。2025年通年で約14.5万人が利用、8,000円換算で約11.6億円規模。1日平均434人をさばいている。
- 世界は開業ラッシュ。独自トラッカーで11施設の日次実測を自動収集中(第5章)。直近30日はThe Waveが1日約800人で世界最多、開業1ヶ月の米Atlantic Parkが約390人で続く。米国の砂漠型2施設は100人/日前後にとどまり、商圏の厚さが実績を分けている。
- 草津(烏丸半島)の商圏人口は世界最大(第6章)。車2時間圏2,186万人は世界11施設のどこよりも大きく、1.5時間圏1,121万人だけでも実績首位シドニーの2時間圏(640万)を大きく超える。年10万人の標準シナリオに必要な商圏浸透率は約0.9%で、英豪3施設の実績(1.6〜2.4%)の半分程度で足りる。
- 草津(琵琶湖)に当てはめると、冬でも需要はピークの3〜4割残る。気温ベースの試算では冬3ヶ月(12〜2月)のシェアは年間の約13%。一方で草津は25℃超が4ヶ月続き、ピークシーズンは3施設のどこよりも長い。年間10万人(英・メルボルン実績並み)は現実的な中央値である(第7章)。
- 季節性は大きく、冬は夏の1/3程度まで落ちる。各施設とも冬季パス・割引・メンテナンス休業を組み合わせて年間300日前後の営業を成立させている。
1.調査対象の3施設
3施設はいずれもWavegarden Cove型(スペイン・Wavegarden社の造波システム)を採用した内陸サーフ施設で、1時間単位の「枠」を予約販売するビジネスモデルも共通している。
| 施設 | 所在地 | 開業 | 販売単位 | 同時収容(公表値) |
| The Wave | 英・ブリストル | 2019年 | 1時間枠(初級Bay/中上級Reef) | レイク全体 最大80人・最大1,000波/時 |
| URBNSURF Melbourne | 豪・メルボルン(空港隣接) | 2020年 | 1時間枠(The Point 左右2面+初心者Bays) | Point 片側最大18人×2面 |
| URBNSURF Sydney | 豪・シドニー五輪公園 | 2024年 | 同上 | Point 片側12〜18人×2面(枠により変動) |
収容人数の出典: The Wave=第三者ガイド(2026年1月)、Melbourne=旧公式サポート記事ほか、Sydney=公式予約システムの枠別販売席数(2026/9/5実査)。
2.枠ごとの正規料金(2026年9月時点)
The Wave(ブリストル)公式2026料金PDFより
2026年夏季料金(4/2〜9/30適用)。オフピーク=月〜金、ピーク=週末・祝日・学校休暇。全枠にウェットスーツ・ブーツ等の装備が含まれる(中級まではボードも無料)。
| 枠 | 時間 | オフピーク | 円換算 | ピーク | 円換算 |
| Bayセッション(初級・大人) | 1時間 | £44 | 約9,500円 | £53 | 約11,500円 |
| Bayレッスン(初級・大人) | 1.5時間 | £50 | 約10,800円 | £59 | 約12,800円 |
| Reefセッション(中〜上級・大人) | 1時間 | £55 | 約11,900円 | £65 | 約14,100円 |
| Reefレッスン(中〜上級・大人) | 1.5時間 | £61 | 約13,200円 | £71 | 約15,400円 |
| 上級コーチング(大人) | 1.5時間 | £66 | 約14,300円 | £77 | 約16,700円 |
| 子供料金(各枠) | — | 大人より £5〜6 安い設定(例: Bayセッション £39/£47) |
- ピーク割増は全枠で約+18〜20%。夏休み期間(7/13〜9/6)は平日もピーク扱い。
- 回数券: セッション5回 £268(£54/回)〜、2月限定の早割40回 £1,760(£44/回≒9,500円)まで。
- その他収益: 見学入場 £2、場内宿泊(サファリテント 1泊£78〜)、会場貸し £280/日〜、ボードレンタル £15〜25。会員制度は現在リニューアルのため停止中。
- 冬季(10月〜3月)は別料金表(現在未公表)。夏季営業時間は毎日7:00〜22:00。
URBNSURF Melbourne公式料金表+予約画面実査
本波(The Point)はレベル不問の一律価格(Expertのみ別建て)。器材は別料金で、子供も大人と同額。レッスンのみ器材込み。
| 枠 | 時間 | 料金(AUD) | 円換算 |
| Pointセッション(初級〜上級 共通) | 1時間 | $109〜119 (月木/金日・ピーク期+$5) | 約12,500〜13,600円 |
| Expertセッション | 1時間 | $149(通年固定) | 約17,000円 |
| 初心者レッスン(Bays・器材込) | 1.5時間 | $109〜124 | 約12,500〜14,200円 |
| Surf in the Bays(白波練習) | 1時間 | $39〜45 | 約4,500〜5,100円 |
| レンタル(ソフトボード/ウェット) | 1枠 | $10 / $15 | 約1,100 / 1,700円 |
- 回数券: 20回 $1,979($99/回≒11,300円)。会員: 月額$165〜729、実質単価$78〜100(8,900〜11,400円)。
- 冬季施策が厚い: 初心者レッスン50%オフ、Winter Warriorパス(週$549〜)、平日限定デイパス等。
- その他収益: 見学$5、法人サーフ体験 $99/人〜、AI自動撮影の映像販売(Flowstate)、場内レストラン(Three Blue Ducks)、Rip Curl直営店。
- 2025年→2026年に料金体系を再編(レベル別→一律)。旧Cruiser $89比で約2〜3割の実質値上げを実施した形跡。
URBNSURF Sydney公式予約システム実売価格
体系はメルボルンと同一だが、全般に$5〜15高い。最新施設かつ需要の強さを反映した強気の価格設定。
| 枠 | 時間 | 料金(AUD) | 円換算 |
| Pointセッション(初級〜上級 共通) | 1時間 | $114〜124 (曜日・ピーク期で変動) | 約13,000〜14,200円 |
| Expertセッション | 1時間 | $159〜164 | 約18,200〜18,800円 |
| 初心者レッスン(Bays・器材込) | 1.5時間 | $114〜119 | 約13,000〜13,600円 |
| グループコーチング(Point) | 1時間+ | セッション+$35($149〜194) | 約17,000〜22,200円 |
| プライベートコーチング(1対1) | 1時間 | $299 | 約34,200円 |
| Surf in the Bays(白波練習) | 1時間 | $39〜49 | 約4,500〜5,600円 |
| Point貸切(片側1時間・カバナ付) | 1時間 | $2,000〜2,500 | 約22.9〜28.6万円 |
- 回数券: 20回 $2,039($102/回≒11,700円)。会員: 月額$185〜769、実質単価$87〜105(10,000〜12,000円)。
- 見学入場も有料($10/大人)。30日レッスン受け放題パス$499、家族向けFamily Fun Pass $149(4枠分)など商品構成が幅広い。
- 時間帯(早朝・ナイター)による価格差はなし(公式予約システムで全時間帯を実査して確認)。
3.3施設横断・料金比較(円換算・大人)
通常期の代表価格。The Waveは装備込み、URBNSURF 2施設は器材レンタル別(+1,100〜3,700円)。
| 枠の種類 | The Wave(英) | Melbourne | Sydney |
| 初心者レッスン(器材込) | 10,800〜12,800円 | 12,500〜14,200円 | 13,000〜13,600円 |
| 中〜上級セッション(1時間) | 11,900〜14,100円 | 12,500〜13,600円 | 13,000〜14,200円 |
| エキスパート枠 | (Reefと同額) | 17,000円 | 18,200〜18,800円 |
| 白波・入門プレイ枠 | 約2,200円(参考値) | 4,500〜5,100円 | 4,500〜5,600円 |
| 回数券での実質下限(1枠) | 約9,500円 | 約11,300円 | 約11,700円 |
| 会員での実質単価(1枠) | (会員停止中) | 8,900〜11,400円 | 10,000〜12,000円 |
| 見学入場 | 約400円 | 約600円 | 約1,100円 |
読み取り: 中核のサーフ枠は3施設とも12,000〜14,000円帯に収れん。割引後の下限でも9,000円を割らない。単価を崩さず、①上級者向けプレミアム枠(+30〜40%)、②低単価の入門プレイ枠で裾野拡大、③冬季の期間限定割引という3層構造で需要を最大化しているのが世界の共通解である。
4.利用実績と季節性
提携先経由で入手した月次トラッキングデータ(2024年9月〜2026年7月)より。売上は「利用客数×8,000円」の試算値であり実売上ではない。
月別利用客数の推移(2024年9月〜2026年7月)
単位: 人/月。The Waveは2026年1月がメンテナンス休業、Melbourneは2025年8月が改修等により営業5日のみ。
The Wave(英)
URBNSURF Melbourne
URBNSURF Sydney
施設別: 月別利用客数(棒グラフ)× 現地の平均気温
各施設とも上段が利用客数(人/月・3施設共通スケール)、下段が現地の月平均気温(実線=最高気温、破線=最低気温)。2026年4月以降の気温は気象再解析データ(ERA5)により補完。「休」=メンテナンス休業月。
スライダーで変更 → グラフに触れると反映
2025年(暦年)の通年実績と、単価想定を変えた場合の年間売上規模の試算。
| 施設 | 年間利用客数 | 営業日数 | 平均人数/日 | 売上試算@8,000円 | @10,000円 | @12,000円 |
| The Wave | 94,984人 | 275日 | 320人 | 7.6億円 | 9.5億円 | 11.4億円 |
| Melbourne | 96,385人 | 305日 | 309人 | 7.7億円 | 9.6億円 | 11.6億円 |
| Sydney | 145,130人 | 338日 | 434人 | 11.6億円 | 14.5億円 | 17.4億円 |
- 季節のピークは夏に集中。豪州2施設は12〜3月(南半球の夏)、The Waveは5〜8月がピーク。冬季の月間利用はピーク月の1/3前後まで低下する。
- 気温との連動が3施設共通で確認できる。集客のピークは平均最高気温が25℃前後(豪州2施設)・20℃超(英)となる月とほぼ一致し、最高気温が15℃を下回る月が底になる。気候条件を集客計画に落とし込む際の基礎データとなる。
- シドニーは開業2年目で最も高稼働。ピーク月は1日平均550人超。週末の上級枠は完売が常態化している(予約システム実査で残席ゼロの枠を多数確認)。
- 直近12ヶ月(2025年8月〜2026年7月)では The Wave が約11.2万人と伸びており、記録的な暖夏(2026年7月の平均最高気温26.9℃)と重なって月2.2万人超を記録。成熟施設でも成長余地があることを示す。
- メンテナンス・改修による休業が定期的に発生。年間営業日数は275〜338日が実勢で、事業計画上は300日前後を前提に置くのが妥当。
データ注記: 元データのThe Wave 2025年8〜12月の利用客数は、シート間で不一致があった(例: 8月が22,929人と13,697人の2通り)。本報告書では「平均利用人数×営業日数」と整合する後者の系列を採用している。また元シートの「総計」列は2026年6・7月が集計から漏れていたため、月次値から再計算した。
5.世界11施設・日次トラッキング毎日自動更新
第4章の月次データ(3施設)に加え、本調査では世界11施設の日次データを独自トラッカーで自動収集している(2026年7月25日計測開始・1日3回取得)。海外10施設はAI自動撮影システムFlowstateの公開データから「実際に波に乗った人数」を、静波(日本)は公式予約サイトの販売状況を記録するもので、この章の数値はページを開くたびに最新データで自動的に再計算される。
トラッキング対象の11施設。開業年順ではなく地域順。
| 施設 | 所在地 | 開業 | 造波方式 | 計測方式 |
| 🇬🇧 The Wave | 英・ブリストル | 2019年 | Wavegarden Cove | 実測(初心者Bays込み) |
| 🇬🇧 Lost Shore | 英・エディンバラ | 2024年9月 | Wavegarden Cove | 実測(レッスン込み) |
| 🇩🇪 O2 Surftown MUC | 独・ミュンヘン | 2024年9月 | Endless Surf | セッション数のみ(人数非公開) |
| 🇦🇺 URBNSURF Melbourne | 豪・メルボルン | 2020年1月 | Wavegarden Cove | 実測(本波リーフのみ) |
| 🇦🇺 URBNSURF Sydney | 豪・シドニー | 2024年5月 | Wavegarden Cove | 実測(本波リーフのみ) |
| 🇦🇪 Surf Abu Dhabi | UAE・アブダビ | 2024年10月 | Kelly Slater Wave Co | セッション数のみ(人数非公開) |
| 🇺🇸 Atlantic Park | 米・バージニアビーチ | 2025年8月 | Wavegarden Cove | 実測 |
| 🇺🇸 Palm Springs Surf Club | 米・パームスプリングス | 2024年1月 | Surf Loch | 実測 |
| 🇺🇸 Revel Surf | 米・メサ(フェニックス圏) | 2024年12月 | SwellMFG+UNIT | 実測(中級Level II以上) |
| 🇺🇸 Waco Surf | 米・ウェーコ(テキサス) | 2018年 | PerfectSwell | 実測 |
| 🇯🇵 静波サーフスタジアム | 日・静岡県牧之原市 | 2021年6月 | PerfectSwell | 予約販売状況(残席の実数) |
世界のウェーブプールはWavegarden Cove(西欧・豪・米で5施設)が最多勢力。草津で想定するのも同型であり、The Wave・URBNSURF・Atlantic Park・Lost Shoreはいずれも「同じ機械」を使う直接ベンチマークである。
直近30日の1日平均サーファー数(実測8施設)
Flowstate計測で人数が取得できる8施設の比較。データ最終日: 2026年9月6日(集計窓 8/8〜9/6)
※ 8〜9月は北半球=夏のピーク、豪州2施設=冬の底。季節が逆である点に注意(シドニーは8/10〜28が冬季メンテナンス休業)。URBNSURFは本波(リーフ)のみの人数で、初心者Baysを含まない。
直近30日の日次実測の詳細。ページ表示時に自動更新される。
| 施設 | 平均人数/日 | 最大日 | 平均波数/日 | 平均セッション数/日 |
| 🇬🇧 The Wave | 797人 | 986人 | 9,309本 | 44.5 |
| 🇺🇸 Atlantic Park | 388人 | 482人 | 8,066本 | 27.8 |
| 🇦🇺 URBNSURF Sydney | 327人 | 444人 | 4,245本 | 10.2 |
| 🇬🇧 Lost Shore | 263人 | 424人 | 3,534本 | 24.5 |
| 🇦🇺 URBNSURF Melbourne | 244人 | 354人 | 3,040本 | 18.3 |
| 🇺🇸 Waco Surf | 187人 | 317人 | 1,965本 | 13.7 |
| 🇺🇸 Palm Springs Surf Club | 96人 | 217人 | 1,611本 | 6.2 |
| 🇺🇸 Revel Surf | 82人 | 133人 | 797本 | 6.8 |
| 🇩🇪 O2 Surftown MUC | — | — | — | 43.9 |
| 🇦🇪 Surf Abu Dhabi | — | — | — | 3.4 |
| 🇯🇵 静波サーフスタジアム | 予約販売データを蓄積中(2026年9月2日開始)。枠料金は11,000〜14,300円で世界実勢と同水準 |
- The Waveが世界最多の1日約800人。記録的暖夏の英国で、第4章の2025年平均(320人/日)の2.5倍ペースで集客中。稼働の上限イメージとして重要な実測値である。
- 開業1ヶ月のAtlantic Parkが早くも世界2位(約390人/日)。米国初のWavegarden Coveが初月から高稼働しており、「新規開業×都市近接」の立ち上がりの速さを示す。
- ミュンヘンは1日約44セッションを完売水準で回転。人数は非公開だが、セッション数はThe Wave(44.5)と同水準で、欧州大陸初の都市型プールも高稼働。
- 米国の砂漠型2施設(Palm Springs・Revel)は100人/日前後と小規模。都市規模・商圏の差が実績に直結している(次章で商圏人口を比較)。
- 豪州2施設は冬でも240〜330人/日を維持。「冬はゼロになる」のではなく夏の4〜6割で回るという第4章の月次分析を、日次実測でも裏づけた。
計測上の注意: Flowstateの映像計測は施設により対象範囲が異なる(The Wave=初心者ゾーン込み、URBNSURF=本波のみ、Revel=中級以上のみ)。施設間の絶対値比較は幅をもって見ること。O2 SurftownとSurf Abu Dhabiは施設側の設定で人数非公開のためセッション数のみ。静波は撮影データがないため予約販売の実数を記録している。
6.商圏人口の国際比較 — 車1時間/1.5時間/2時間圏
ウェーブプールの集客力は「気候」(第7章)と「商圏の厚さ」で決まる。本章では第5章の11施設に建設予定地・草津(烏丸半島)を加えた12地点について、車で1時間/1.5時間/2時間圏内の人口を同一手法で集計した(本調査の独自集計)。
手法: 各地点の高速道路アクセスを起点に、平常時の車での標準所要時間(渋滞非考慮)で都市中心部まで60分/90分/120分に到達できる市町村・都市圏を特定し、各国の公式統計人口を積算した(日本=住民基本台帳2026年4月・市町村単位、英=国勢調査2021/22、独=2025年末推計、豪=2025年6月推計、米=2024年推計、UAE=2023年国勢調査ほか)。境界上の都市はすべて遠い方の帯に入れる保守的運用とし、圏外縁の小規模町村は未計上。数値は概数で、実質精度は±5〜10%程度。
車圏人口の12地点比較(累積・万人)
濃い色=1時間圏、中間=1.5時間圏で加わる分、薄い色=2時間圏で加わる分。紫=草津(烏丸半島・建設予定地)。2時間圏の大きい順。
1時間圏
+1.5時間圏
+2時間圏
🇺🇸 Palm Springs Surf Club
車圏人口の詳細(累積・万人)と各帯の主な圏内都市。
| 地点 | 1時間圏 | 1.5時間圏 | 2時間圏 | 主な圏内都市(1h → 1.5h → 2h) |
| 🇯🇵 草津・烏丸半島(予定地) | 285万 | 1,121万 | 2,186万 | 京都・大津 → 大阪・奈良・高槻〜東大阪 → 神戸・堺・名古屋・岐阜・四日市 |
| 🇺🇸 Palm Springs Surf Club | 59万 | 425万 | 1,762万 | コーチェラバレー → リバーサイド圏 → ロサンゼルス圏 |
| 🇺🇸 Waco Surf | 37万 | 95万 | 1,213万 | ウェーコ → キリーン・テンプル → ダラス・フォートワース、オースティン |
| 🇬🇧 The Wave | 236万 | 528万 | 884万 | ブリストル・カーディフ → スウォンジー・ソールズベリー → バーミンガム圏 |
| 🇦🇪 Surf Abu Dhabi | 225万 | 481万 | 717万 | アブダビ → ドバイ西部 → ドバイ東部・アルアイン |
| 🇦🇺 URBNSURF Sydney | 508万 | 599万 | 640万 | シドニー都市圏の約9割 → セントラルコースト・ウーロンゴン → ニューカッスル |
| 🇺🇸 Revel Surf | 492万 | 524万 | 633万 | フェニックス都市圏 → 西部郊外 → ツーソン |
| 🇦🇺 URBNSURF Melbourne | 435万 | 588万 | 617万 | メルボルン都市圏の約8割 → ジーロング・バララット → ベンディゴ |
| 🇯🇵 静波サーフスタジアム | 156万 | 356万 | 607万 | 静岡市・焼津・藤枝・磐田 → 浜松・富士・沼津 → 豊田・岡崎・小田原 |
| 🇩🇪 O2 Surftown MUC | 321万 | 392万 | 510万 | ミュンヘン圏 → アウクスブルク・レーゲンスブルク → ニュルンベルク・ザルツブルク |
| 🇬🇧 Lost Shore | 250万 | 421万 | 455万 | エディンバラ・グラスゴー → ファイフ・ダンディー → (上積み小) |
| 🇺🇸 Atlantic Park | 151万 | 184万 | 324万 | ハンプトンローズ7市 → ウィリアムズバーグ → リッチモンド |
草津の名古屋市は平常時1時間55分〜2時間10分の境界事例(新名神経由)。名古屋市を除いた場合の草津2時間圏は約1,955万人で、それでも12地点中最大。静波の浜松市(約55〜65分)も保守的に1.5時間帯へ計上している。
- 草津は1.5時間圏・2時間圏とも世界最大。2時間圏2,186万人は、実績首位シドニー(640万)の3.4倍、2位のPalm Springs(LA圏を含む1,762万)をも上回る。1.5時間圏1,121万人だけでベンチマーク3施設の2時間圏を全て超える。
- 1時間圏の厚さが「平日・日常利用」を規定する。1時間圏はシドニー(508万)・Revel(492万)・メルボルン(435万)が上位で、草津は285万(京都市を含む)で5位。日次実測が伸び悩む米国2施設(Palm Springs 59万・Waco 37万)との差は歴然で、1時間圏の薄い「デスティネーション型」は日常需要を積み上げにくい。
- 草津は「1h圏に京都285万+1.5h圏に大阪圏1,121万」の二段構え。日常利用(1h圏)と週末需要(1.5〜2h圏)の両方を満たす立地は、実測11施設にも存在しない組み合わせである。
- 国内既存施設(静波)とは商圏がほぼ重ならない。草津の商圏は静波の約1.8〜3.6倍(帯により)で、静波の商圏は静岡県中心。関西・中京の需要は現状、車2時間圏内にウェーブプールが存在しない空白市場である。
商圏浸透率による集客シナリオの検証
年間利用実績が判明している3施設について「年間利用客数 ÷ 商圏人口」(=商圏浸透率、延べ回数ベース)を計算し、草津の集客シナリオ(第7章)がどの程度の浸透率を要求するかを検証した。
ベンチマーク3施設の商圏浸透率(2025年実績)と、草津のシナリオ達成に必要な浸透率。
| 施設/シナリオ | 年間利用客数 | 1.5時間圏人口 | 必要浸透率(対1.5h圏) |
| 🇬🇧 The Wave(実績) | 94,984人 | 528万人 | 1.8% |
| 🇦🇺 Melbourne(実績) | 96,385人 | 588万人 | 1.6% |
| 🇦🇺 Sydney(実績) | 145,130人 | 599万人 | 2.4% |
| 草津: 保守(年8万人) | 80,000人 | 1,121万人 | 0.71% |
| 草津: 標準(年10万人) | 100,000人 | 1,121万人 | 0.89% |
| 草津: 強気(年14.5万人) | 145,000人 | 1,121万人 | 1.29% |
読み取り: 草津の標準シナリオ(年10万人)に必要な商圏浸透率は0.89%と、ベンチマーク実績(1.6〜2.4%)の半分程度。強気シナリオ(年14.5万人)ですら1.29%で、実績最低のメルボルン(1.6%)を下回る。商圏人口の観点からは、第7章のシナリオはいずれも十分に控えめである。仮にベンチマークの浸透率レンジ(1.6〜2.4%)をそのまま当てはめると年18〜27万人に相当するが、これは商圏の理論上限に近い参考値として扱うべきである。
本章の限界: ①商圏人口は「需要の上限を規定する要因」であり需要そのものではない。実際の集客はサーフィン参加率・施設の認知・価格・競合の状況に依存し、英豪と日本ではサーフ文化の浸透度も異なる。②所要時間は平常時ベースで、京都市内・大阪市内の渋滞時は+20〜40分。③市町村・都市圏単位の集計であり、圏界をまたぐ市域は一括計上(草津の名古屋市など境界事例は本文に注記)。④集計単位が国により異なる(日本=市町村、英=自治体、米=MSA等)ため、絶対値の厳密な国際比較には幅をもたせること。
7.琵琶湖(草津)への当てはめ — 想定集客カーブ
「日本の冬に客は来るのか」——投資家が最も懸念するこの問いに答えるため、3施設×23ヶ月の実績から気温と需要の関係を数値化し、建設予定地・草津(烏丸半島)の気候に当てはめた。
手法: 各施設の「営業日あたり平均利用人数」を施設ごとのピーク月=100として指数化し、月平均最高気温の5つの帯ごとに平均した(対象65ヶ月)。得られた需要指数は 10℃未満=30 / 10〜15℃=45 / 15〜20℃=57 / 20〜25℃=72 / 25℃以上=94。これを草津の月別平均気温(ERA5・2023〜25年の3年平均)に適用した。
※需要指数=「最も混む月を100点としたときの混み具合」。例えば指数30の月は、ピーク月の約3割の客入りが見込めるという意味。
草津(烏丸半島): 月別想定来場者 × 平均気温
棒=標準シナリオ(年間10万人)の月別想定来場者。実線=平均最高気温、破線=平均最低気温(2023〜25年平均)。カーソルを乗せると3シナリオの人数を表示。
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月別の想定来場者数。保守=年8万人(ベンチマーク下回り)、標準=年10万人(英・メルボルン実績並み)、強気=年14.5万人(シドニー実績並み)。
| 月 | 平均気温(最高/最低) | 需要指数 | 保守: 年8万人 | 標準: 年10万人 | 強気: 年14.5万人 |
| 1月 | 8.0℃ / −0.2℃ | 30 | 3,100人 | 3,800人 | 5,600人 |
| 2月 | 8.4℃ / 0.8℃ | 30 | 3,100人 | 3,800人 | 5,600人 |
| 3月 | 13.2℃ / 4.1℃ | 45 | 4,600人 | 5,700人 | 8,300人 |
| 4月 | 19.0℃ / 9.7℃ | 57 | 5,800人 | 7,300人 | 10,500人 |
| 5月 | 22.2℃ / 13.4℃ | 72 | 7,300人 | 9,200人 | 13,300人 |
| 6月 | 26.3℃ / 18.6℃ | 94 | 9,600人 | 12,000人 | 17,400人 |
| 7月 | 31.3℃ / 23.9℃ | 94 | 9,600人 | 12,000人 | 17,400人 |
| 8月 | 32.1℃ / 24.8℃ | 94 | 9,600人 | 12,000人 | 17,400人 |
| 9月 | 29.8℃ / 22.5℃ | 94 | 9,600人 | 12,000人 | 17,400人 |
| 10月 | 22.2℃ / 15.4℃ | 72 | 7,300人 | 9,200人 | 13,300人 |
| 11月 | 16.1℃ / 8.4℃ | 57 | 5,800人 | 7,300人 | 10,500人 |
| 12月 | 10.8℃ / 2.5℃ | 45 | 4,600人 | 5,700人 | 8,300人 |
- 冬もゼロにはならない。草津の冬(平均最高8℃台)は英The Waveの冬(5.6〜8.6℃)と同条件で、The Waveはその気温帯でも1日188〜214人を集めている。需要指数30はこの実績の平均であり、机上の仮定ではない。
- 草津のピークシーズンは3施設より長い。25℃以上の「最需要帯」が6〜9月の4ヶ月連続。ブリストルでこの帯に入るのは年1〜2ヶ月しかない。
- 水準感: 標準シナリオ(年10万人)はブレンド単価1万円で年商約10億円。保守で8億円、シドニー並みの強気なら14.5億円の規模となる。
- 冬の谷はベンチマークと同じ手当てが可能。冬季パス・平日割引・レッスン集中・年次メンテナンスの冬季集約など、3施設が実際に行っている閑散期対策(第2章)がそのまま適用できる。
試算の前提と限界: ①草津の7〜8月(平均最高31〜32℃)に相当する実績はベンチマークに存在しないため「25℃以上」帯と同じ指数を適用した(酷暑による日中の落ち込みは未調整。ナイター・早朝枠での補完が現実解となる)。②降水・湿度・学校休暇・開業後のランプアップ・料金差は未調整。③施設規模・運営水準は3施設と同等と仮定。④需要指数は「営業日あたり」ベースであり、営業日数の設計(冬季メンテ集約等)は別途の計画事項。
8.投資判断への示唆
- 想定単価8,000円は保守的。正規料金の実勢(12,000〜14,000円)、割引後の下限(約9,000〜11,700円)、低単価の入門枠の存在をならすと、ブレンド単価は9,000〜12,000円が現実的なレンジ。トラッキングデータの売上試算は下振れ側の見積もりであり、上表のとおり単価想定次第で売上規模は2〜5割増える。
- 「枠×レベル」の値付けはシンプル化が世界の潮流。メルボルンはレベル別価格を廃止して一律化した上で実質値上げに成功。運営面でも「わかりやすい一律価格+Expertプレミアム」が支持されている。
- ピーク/オフピーク差は小さめに設計されている。英+18〜20%、豪+$5(4〜5%)程度。大きな価格差より、冬季パス・回数券で閑散期の稼働を埋める設計が主流。
- サーフ以外の収益源が層を成す。レンタル(豪は1枠あたり+1,100〜3,700円)、AI自動撮影の映像販売、F&B、見学入場、法人イベント($99/人〜)、貸切(シドニーは1時間22.9万円〜)、宿泊(英)。単価×客数の本業に対し、これらが単価を底上げする。
- 新しい施設ほど高く売れている。開業2年目のシドニーは料金・集客・営業日数のすべてでメルボルンを上回る。設備の新しさと立地(都市近接)が価格決定力に直結している。
- 商圏人口は草津の最大の武器。車2時間圏2,186万人は実測11施設のどこよりも大きく(第6章)、集客計画の制約は「商圏の上限」ではなく認知獲得と反復率になる。1時間圏の薄い米国砂漠型2施設が伸び悩む一方、「1h圏に京都・1.5h圏に大阪」の二段構えは日常利用と週末需要の両取りができる世界でも稀有な立地条件である。
9.出典と留意事項
主な出典(いずれも2026年9月2日閲覧)
- The Wave: 公式2026年料金PDF(thewave.com掲載・2026年2月版)、公式予約ページ thewave.com/book-now、装備・営業時間等の各公式ページ
- URBNSURF(両拠点): 公式料金比較ページ urbnsurf.com/compare-pricing、公式予約システム book.urbnsurf.com の実売価格(拠点別に実査)、回数券・会員・冬季パス各公式ページ
- 利用実績: 提携先提供の月次トラッキングデータ(Flowstate集計・2024年9月〜2026年7月)
- 第5章の日次データ: 独自トラッカー(Cloudflare Workers・2026年7月25日計測開始)による自動収集。海外10施設はFlowstate公開データ、静波は公式予約サイトの販売状況を1日3回記録。第5章の表・グラフはページ表示時に同トラッカーのAPIから最新値を取得して再計算される。
- 第5章の開業年・造波方式: 各施設公式サイトおよび業界メディア(Wavepool Mag、Surfer、Surf Park Central等)にて2026年9月7日確認。
- 第6章の商圏人口(2026年9月7日調査): 日本=国土地理協会「市町村別人口・世帯数」(住民基本台帳ベース・2026年4月)。英=ONS国勢調査2021・スコットランド国勢調査2022。独=Destatis/バイエルン州統計局2025年末推計。豪=ABS地域人口推計2025年6月。米=国勢調査局2024年推計(MSA/市)。UAE=アブダビ国勢調査2023・ドバイ統計センター2024年末推計。所要時間はATIS交通情報サービス・NAVITIME・各施設公式サイト等の平常時標準値。判定ルール(保守的運用)は第6章に明記。
- 気温: 2026年3月まではトラッキングデータ記載値、2026年4〜7月は Open-Meteo(ERA5再解析・各施設所在地の座標で取得)による補完値。両者が重複する2026年1〜3月で突き合わせ、誤差が概ね±1℃以内であることを確認済み。
- 草津(烏丸半島)の気温: Open-Meteo(ERA5)の2023〜25年・3年平均。第7章の想定集客カーブは本報告書独自の試算であり、手法・前提は同章に明記。
- 為替: 2026年9月2日レート(£1=216.5円、A$1=114.4円)。円換算は概数(100円単位)。
留意事項
- The Waveの冬季(10〜3月)料金は未公表のため本書は夏季料金。入門プレイ枠(£10)は2022年時点の情報で現行未確認。
- メルボルンの週末価格は公式表($114)と冬季の実売($109)に乖離があり、冬季は実質フラット運用とみられる。
- 売上はすべて「客数×単価」の試算であり、各社の決算数値ではない。貸切・法人・学校団体など見積制の商品は含まれない。
- URBNSURFのPointセッションは子供(6〜12歳)も大人と同額(公式予約システムで確認)。